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大統領が国民に意識改革を呼びかけた(1) 

エルベグドルジ大統領から国民への呼びかけ

President.mnより(2015.02.12)

あの年、私はすごく恥ずかしかった。

世界で有名な大学(訳注:米国・ハーバード大)に入学して
初めての授業の日。問題解決の課題が出された。

クラスの皆が3グループに分かれて、最善の解決方法を
見つける競争をした。
私にはその問題の解決方法がごく簡単に思えた。
その解決方法を探して頭を悩ますより、解決させないように
動いた方が簡単だと思った。
そして自分の意見を発表し、モンゴルで言うところの
「毒を調合する(訳注:謀を巡らせるの意)」方法について話した。

そこには多くの国から若者、中年の留学生7,8人もいた。
彼らは私の話を不思議そうに聞いてくれたが、
誰もその話を進めなかった。
各自が自分の意見を発表し、紙に書き出し、
最善の解決方法をどのように見つけるか、
私とは全く違ったことを語り始めた。
私はすごく気まずい思いをし、自分の言ったことが恥ずかしかった。
深く恥じ、反省し、それ以後は、何かをするとき、なるべくうまく
やれるように建設的に、協力的に考え、行ない、話すことを心がけていた。
あらゆる問題に対する自分の間違った向き合い方、汚れた考え方、
悪意あるやり方が恥ずかしかった。
今でもその時のことを振り返ると恥ずかしくなる。

人間は精神的な生きものである。
思考力というのは、簡単に目覚めることができるし、また望めば、
反省すれば、気づけば変わることができる。

モンゴルの苦悩

我々は、誇りについて思う時、チンギスハーンを語るのが好きだ。
彼は私たちと同じく、人生というものの幸福、不幸、失敗を経験してきた。
だが、若い頃のテムジンはモンゴルの困難がモンゴルの内部分裂、
あきらめの意識にあるということに気づいた。
モンゴル人、モンゴル民族同士で戦い、恨みを持ち合い、お互いを
苦しめていたのではモンゴルに幸福が訪れないことをよく分かっていた。
彼は、友情には誠実だった。裏切ることを憎んでいた。
チンギスハーンは他人の過ちを許し、一つの目的に結束して
立ち向かうことを呼びかけた。
彼の成功の要因の1つは、モンゴル民族同士が戦い分裂する意識を、
統合し前進する力に変えたことだ。

モンゴルの歴史におけるすべての大改変、改革、発展は
モンゴル人の意識変化、発達に深く関係していることが見て取れる。
我々の世代の者が学校で読んでいた若いスフバートル将軍の名言も、
上記と同じ意味だ。
「自分の心の声と一つになることができれば、道は自らひらける」
と彼は教えた。

我々の現代の困難も国民の新しい選択と関係があるのではなく、
むしろ私たちは自由のもたらすチャンスを創造力へ変えることが
まだできていないことに原因があるのだ。

一部の人々、特に政治家らは自由というものを簡単なように
使用してきた。
簡単に成功する、簡単に稼ぐ、簡単に昇進する、簡単に解決する、
簡単に影響力を広げ支援者を増やす、簡単に権力を握る、
簡単に野党になる。
このようなおかしなやり方に慣れ切っている人の数や範囲が
光の速さで増えている。
こんなやり方で財産を築き、成功の手段としているグループ、
社会の階層ができている。

彼らには何かを創るより壊すほうが楽しいようだ。
自分の権力や資金を生産的、建設的なことのためではなく、
お互いを非難し、嫌がらせるために使うのが勝者のようになってきた。
これがさも「愛国心」かのようにだ。
こういう状態に世論も飲み込まれ、それに反対した者が最も
目障りのように扱われる。

とうとうチョイジャムツ師(訳注:モンゴルで著名な僧侶)が
「お互いの悪口を言って侮辱するのはいい加減にしてほしい」
と述べた。彼は最近のインタビューでテレビを見ながら家事を
している主婦が「こいつは・・・」と映っていた人に次々と悪口を
言っているのを語っていた。

モンゴル人は明敏な民族だ。
状況が悪化し、間違った傾向が広がっていることがどこでも
話題になり、その間違いを一部の人ははっきりと指摘している。
我々は歴史的な教訓が豊富な民族だ。
大帝国から貧乏国まで弱体化し、七転び八起きしてきた。
そのすべての理由は、大半がモンゴル人自らにある。
現在の状況もまさにそうである。

モンゴル人は民主主義だから内輪揉めしているわけではない。
内輪揉めをすることが誰かにとって利益があるからだ。
その上、足の引っ張り合いの輪の中であまりにも長い間生きてきたせいだ。
その輪から抜け出す方法を見つけた者を、抜け出して生きる方法を
見つけられなかった他の者が引きずり落とす。

まっすぐに歩くこともできなくなった。
後ろの者が前を行く者の足を引っ掛けて転ばせる。
全員が巻き込まれ、転んで、前に進まない人たち。
今、この状況にいい加減気づくべきだ。
変えないと進まない。モンゴルは発展しない。
結局のところ、モンゴル人の利益は我が国の発展である。
モンゴル国民の自由で豊かな生活である。
我々が放棄すべきなのは後進性、特に、意識の後進性だ。
これにこそ我々は改革を起こす必要がある。
国内でお互いが力尽きるまで争っている余裕は我々にはない。
それでもモンゴルは我が家である。
どんなにひどくても私たちが自分の家を立て直すべきだ。
モンゴルはモンゴル人が助けあってこそ、皆で前進できるのだ。
モンゴルは独特な歴史、独特な現代、独特な将来を持っている国だ。
わが国は独特な位置や厳しい気候の中に置かれている。
私たちの民族は少ない。
我慢できる欠点もあり、実力より重すぎる勝負もある。
どんな国にも発展する好機はめったにしか到来しない。
800年前にモンゴルに与えられた先祖の気づきは一つの好機だった。
おそらく、現代もその時のように歴史的な好機が訪れているかもしれない。
こんな時こそモンゴル人は他人の操り人形にならず、
また地獄の足の引っ張り合いの苦悩を止めるべきだ。

(大統領が国民に意識改革を呼びかけた2に続く)

原文はこちら
訳:セレンゲ



大統領もモンゴル国内での足の引っ張り合いには心を痛めて
いたようです。

「内輪揉めをすることが誰かにとって利益があるからだ。」
「こんな時こそモンゴル人は他人の操り人形にならず、・・・」
というのはBaabar氏のコラム
モンゴルは追い剥ぎか?操り人形か?
を意識しての発言かもしれません。
(プージェー藤井)

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